ある女子寮では、毎年恒例の新入生へのしごきが行われていた。
この女子寮は今どき珍しい体育会系で、先輩・後輩の序列は絶対である。さらに新入生は、最初にプライドを捨てさせて従順にさせ、寮の規律に服従させるために、あらゆる恥芸を強制される。
どんなに生意気な新入生でも、全裸で恥ずかしい芸をさせれば、もう逆らわなくなる。
服を着た先輩たちの前で、全裸で惨めな芸を全力でさせられることで、尊厳やプライドを超えた上下関係が、脳裏に刻みこまれるのだ。
人間心理とは不思議なもので、「絶対に人に見られたくない恥ずかしい滑稽な姿」を見られた相手には、逆らう気力がなくなるだけでなく、むしろ忠誠心を抱いてしまう。そのため、「最初に恥をかかせる」というのは、規律正しい軍隊への入隊や、洗脳などにも使われるテクニックである。
例えば、全裸で動物のモノマネ。
これは定番だ。
例えば、ニワトリの真似、ゴリラの真似、セミの真似、犬のちんちん、など、年頃で恥じらいのある女性が絶対に嫌がるような動物が選ばれる。
とくに可愛い女の子ほど徹底的にやられる。これは、容姿の端麗な女の子ほど自意識やプライドが高く、教育が必要だから、という名目ではあるが、実際のところは、単に、先輩女子の妬みや嫌がらせというのもある。
今日も主なターゲットになったのは、今年の新入生で一番かわいい玲奈だった。
他の下級生は、皆、下着をつけたまま練習させられる。だが、玲奈だけはパンツもブラも身に付けることを許されず、全裸で練習することを強要される。
それも、他の1年生は5~10分で、それも簡単な芸の披露で練習が終わるところ、玲奈だけは、30分以上もニワトリの練習をさせられていた。
「こけーっこっこっこけーっ、こけーっ」
「何度、言わせるのよ。もっと足を開きなさいっ」
「いっちょ前に恥ずかしがってんじゃないわよ、
ニワトリは恥ずかしがったりしないでしょ!もっと真剣にニワトリになりなさい」
年頃の女の子が、全裸でニワトリをさせられてるのだから、恥ずかしいに決まっている。しかし玲奈は顔を真っ赤にしながらも、それを隠しながら、必死に本格的なニワトリを披露する。
かなりの出来の良さだ。
だが、先輩は言い掛かりをつける。
「こっちも忙しいのに、あなたの指導ばっかできないわよ」
「他の1年生に見てもらって、指導して貰いなさい」
「今日中にできるようにならないと、パンツ履かせないわよ」
玲奈は、理不尽さと屈辱に震えながら必死に泣くのを堪える。
指導役に指名された同級生1年生も気まずそうだ。何しろ、自分より遥かに完成度の高いニワトリを披露してるのに、理不尽に「ダメ」と言われ続けてるのだ。
指名された1年生も仕事をしないわけにいかないので、何かしら適当な改善点をアドバイスする。
「そうだね、もっと唇を尖らせた方がいいんじゃないかな…」
「あと手はもっと大きくパタパタさせたほうが….うん、その方がいいよ….」
「もっと必死な感じでバタバタしてみたら? …ほら、ニワトリってもっとジタバタしてるじゃん」
自分と同級生の1年生に全裸芸を指導されて、玲奈の屈辱はピークに達する。それでも先輩が見ているので一生懸命、言われた通りにやる玲奈。
「こけーっ、こっこっ、こけーっこ、こ、こ、こけーこっこーっ」
「うん、良いんじゃないかな…。
あと先輩にも言われてたけど…。
玲奈ちゃん、恥ずかしがってすぐアソコを隠そうとする癖があるから..、ちゃんと、足は開いたままにして、正面からはずっと見えるようにしてて。
わかった?」
「あと…、言いにくいんだけど…、いちいち顔赤くするのもやめられないかな?
いま、玲奈ちゃんはニワトリなんだから…。
変なこと考えないで、ニワトリに集中して」
同級生に泣きたくなるようなことをズバズバと言われて、ますます顔が真っ赤になる玲奈。この状況で、恥ずかしがって顔を赤くすることさえ、ダメだと指摘されているのだ。
「「こけっこーっこっこっこっこけーっ、こけっこっこー」
玲奈のニワトリの練習はまだまだ続く。